超お勧め本★乳がんと診断されたらすぐに読みたい本 ~私たち100人の乳がん体験記
いま、年間に約6万人の方が「乳がん」と診断されています。
突然の診断に驚き、これからどうなるのかと不安になる方が多いと思います。
そんなときに役に立つ本が作りたい、何より“仲間がいる"と思うだけでどれだけ救われることか――そんな思いから誕生した本です。
本書は2部構成になっています。
前半が著者の体験談で、乳がんの発覚から手術、抗がん剤治療、リハビリ、ホルモン療法といった治療全般に関すること。
また、治療そのものの体験だけではなく、それから気になる治療費のこと、髪の毛(抗がん剤治療で脱毛)やウィッグのこと、仕事のこと、告知、がん保険、治療中の子育て、術後も温泉に行くには……などなど、生活に関するさまざまな疑問や問題について、明るく、ときにユーモラスに語っています。
後半部分では、約120名もの、さまざまなタイプやステージ、治療内容を選択した闘病仲間たちの、治療・生活に関する “本音"を、円グラフやコメントで紹介しています。
乳がんと診断されたばかりで「これからどうしたらよいかわからない」と困っている方にとって、本書が有効な参考書になってくれたら、抱えているその不安を少しでも解消してもらえたら……著者と仲間たちのそんな願いが込められている一冊です。
第1章 治療のこと
これから治療を受けられる方、ご家族の方へ 乳がんの治療って、こんな感じで結構バラエティに富んでます!
◎私の治療スケジュール/◎受診・告知・術前検査/◎手術・リハビリ・病理検査/◎抗がん剤治療
◎髪の毛のこと/◎放射線治療・ホルモン療法・術後検査/◎治療のこと(補足)
第2章 生活のこと
治療中って生活はどうなるの!? そんな不安にお答えします!
◎お金のこと/◎日々のこと
★100人の体験記 アンケート結果《データ&コラム》
・乳がん発見の経緯/定期検診は受けていましたか?/温存・全摘の選択/再建の予定は?
・初回受診から手術までの期間/乳房再建の方法は?/入院時に持っていってよかったもの/リハビリで腕はいつ上がるの?
・病理タイプ別治療体験記(ステージ・核グレード・サブタイプほか)/治療と妊娠/いろいろな抗がん剤/副作用対策
・ウィッグの費用について教えて! /いつ脱ヅラしましたか?
・ホルモン療法の副作用は?/ホットフラッシュはありましたか?/術後検査について
・抗がん剤治療中の「体重」/リンパ浮腫の予防/海外での治療
・みんなの治療費(表)/がん保険、あなたは?
・子供とのエピソード/障害のある子供と私の治療生活/仕事はどうしましたか?/乳がんになった一番の原因って何だと思う?
・職場で病気のことを公表しましたか?/術後、温泉には行っていますか?……ほか
とにかく読みやすい。
まずは読み易さに★5つ
文字も大きいし、出てくるエピソードでも笑えるし、要所要所のまとめから後半の100人体験記のアンケート結果につながるように工夫されていて、読み返すことが苦にならないつくりになっている。
乳がん関連本を大別すると、医療者による「病気・治療の解説」と体験者の「闘病記」になる。
この本はそのどちらでもなく、「乳がんと診断されて頭がの中が真っ白になってこれから〜・・・」の時に、何が知りたいか、どういう情報に出会えば気持ちが落ち着くかを終始一貫して患者目線で表現している本だ。
がん=死ぬかも、苦しいかも、のイメージにつながってしまいがちで、乳がんと言われたときに得体の知れない不安に陥るのもこのためだと思う。
相手が何ものか分からない、自分がどうなっていくか分からないから、「病気・治療の解説」本や「闘病記」を読むのだろうが、それではこの不安は拭えない。
どこの病院でどんな治療をすれば良いの?乳がん手術後の傷はどんなだろう?抗がん剤やホルモン剤の副作用は?髪の毛はどうなるの?仕事は続けられる?子育てはどうなる?お金はどれくらいかかる?
解説本や闘病記を読んでも不安に対する答えはなかなか出ないだろうし、自分の事がはっきり把握できない混乱した状態で細かく詳しい解説本を読んでも、かえって不安が増すことも。
悩んできたであろう多くの体験者のリアルな言葉を読むと、乳がんという未知のものに対したときに感じる不安が和らぎ、気持ちが落ち着くのではないかと感じられた。
ある医師の著書に「患者会は情報の宝庫」と書いてあった。
まさにその通りで、時間や居住地などの制約がありリアルな患者会には参加できない人でもこの本を読むことで自分に合う情報・知りたい情報が得られる場合もあるかも。
私は一人のがん患者として一番怖いのは、がんそのものよりも「がん患者」になって怖れと不安で前向きになれず気分が落ち込むことだと思っている。
そしてがん患者のほとんどは程度の差はあれそんな気分の落ち込みを感じることがあるだろう。
がん患者はとても孤独になることがある。これは辛い。
そんな時に読む本としても優れものだと思う。