●支持療法
●感染症の支持療法
発熱性好中球減少症では感染症の進行が急激であり、また典型的な身体所見が欠如することもしばしば認められる。
カリニ肺炎などの予防目的としてST合剤を予防投与したり、抗真菌薬シロップを用いることもある。
●骨髄抑制の支持療法
原理的には、全ての化学療法の投薬は免疫系の抑制を引き起こし、骨髄機能を麻痺させ赤血球や血小板などの血液細胞(血球)を減少させる。
赤血球や血小板の減少は、生じたとしても輸血により補うことができる。
好中球減少症(Neutropenia; 好中球が 0.5 × 109/リットル以下に減少)は合成G-CSF(顆粒球コロニー刺激因子 granulocyte-colony stimulating factor)で補える。
場合によっては投薬により重篤な骨髄抑制が発症し、造血幹細胞(血球の幹細胞)が破壊される。
それは他者あるいは自己からの造血幹細胞移植が必要になることを意味する。
自己移植(自己骨髄移植または自己末梢血幹細胞移植)は治療前に患者から取り出した造血幹細胞を培養し、化学療法後に再度注入する方法である。
他者からの同種造血幹細胞移植はドナー探しが必要となる。
患者によっては骨髄障害によって病状が進行する場合もある。
重篤な骨髄抑制を防ぐために多くの化学療法で骨髄抑制の強さは回復可能なレベルに保たれている場合が多い。
末梢血中の好中球の寿命は約8時間であり、白血球数は化学療法試行後7〜14日で最低値となる場合が多く、ナディア(nadir)期といわれる。
血小板の寿命は約7日であり、血小板減少は化学療法後約1週間から出現し2〜3週でナディアになる場合が多い。
赤血球の場合は寿命が120日と長いため貧血は数週から数か月で緩徐に発現する場合が多い。